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藤緒・Fungの継承に伴い、二夜連続で彼女の物語をお届けします。
つたない物語ではありますが、お付き合いいただければ幸いです。
(二夜では終わらないかもしれません。)

なお、これはゲーム内の逸話や体験を元にした私の想像する物語であり、
公式の設定とは一切関係ないことを申し添えます。

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「いくよ、坊やたち。準備はいい?」

巻き上がる砂煙を眼下に納めながら、凛とした声で彼女は言った。

「イエス、マム」

部隊全員がそれに唱和する。

「雛燐、あんたはこれほどの大規模戦は始めてだったね。
いいかい。乱戦時は指揮官を決して見失うんじゃないよ。
それが意味するものは死だ。分かったかい?」

「は、はい。了解です、隊長。」

彼女、この部隊の隊長である藤緒・Fungは、
もう1度彼らを見回し、声を張り上げる。

「いつもどおりだ。
十夜、あんたは中央を。
翔竜士と雛燐は左翼、私とフォンイは右翼。
メイフィ、五鈴、あんたたちは中央後ろをついてきな。
遅れるんじゃないよ。」

Yo!、了解、指示を受けたものがそれぞれに答える。
彼らの頬は皆、一様に昂揚していた。

「よぅし、それじゃ始めるとするかね。
しっかりやるんだよ、坊やたち。全員突撃!」

喚声を上げながら、7人の戦士たちが丘を駆け下りていく。
戦いが、今、始まったのだ。


ここはプラーナ平原。
通常であれば平和なこの地が、一転して惨禍の舞台へと変わっていた。
怒号と血しぶきが飛び交い、刀槍が落日の余光を受けて輝く。
彼女らが戦っているのは、人間相手ではなかった。

── デモニカ

この樹上世界において、最も忌むべき存在。
それが悪鬼デモニカであった。
太古の昔より、この世界を覆いつくす災厄として
人々は恐れ、逃げ惑い、そして戦い続けてきた。

各国の王は、激しさを増すデモニカの侵攻に軍隊だけでは支えきれぬと判断。
冒険者たちに報奨金を出し、彼らと共に戦うことを決断した。
生まれた街や村を守る者、一攫千金を目指す者、
デモニカ戦で名を挙げ国の重鎮にのし上がろうとする者・・・。
多くの人間が、デモニカとの戦いで傷つき、そして倒れていった。
樹上世界の秩序は、彼らの血と汗とそして屍の上に
あやういバランスを保ちながら今日まで続いてきたのである。


「雑魚は無視しろ!他の奴らに任せても構わん。
私たちが狙うのは、奴らの頭だけだ。
頭さえつぶせば、奴らは撤退する。
いくぞ!デモニカを地平の果てまで追い返せ!」

一団は混戦が続く平原の大地を、風となって駆け抜けていく。

「隊長!右翼前方デモニカヤーグ出現!」

それまで後方を走りながら周囲警戒をしていた五鈴が突然叫ぶ。

「戦闘展開!」

藤緒の指揮により、彼女らはデモニカヤーグの周囲に散開する。
ガツン。
部隊の中でも抜きん出た体躯を誇る十夜がヤーグの鋭い爪を盾で受ける。
並みの男が何十人とかかっても動かせない彼であるが
ヤーグの攻撃には渾身の力を振り絞って耐えねばならなかった。

「フォンイ、雛燐、足を狙え!」

命を受けたフォンイと雛燐が同時に足元に飛び込み、
ヤーグの足に一撃を入れる。
だが、一撃ではヤーグは揺るがなかった。
2人は、二転、三転、尾による攻撃をかいぐぐりながら、
一撃離脱を繰り返し、執拗に同じ場所を斬り続ける。
その間、翔竜士と藤緒は十夜を狙う腕に取り付く。
何度も何度も攻撃を繰り返し、ついに翔竜士の剣が片腕を切り落とした。

だが、ヤーグはまだ止まらなかった。
攻撃を受け続けたことで、十夜の盾にも亀裂が走っている。

「竜巻をかけます!下がってください!」

メイフィが叫ぶと同時に、ヤーグの足元から
ものすごい突風が吹き荒れ、その黒い体に裂傷を与えていく。
大地を揺るがすような音を立て、ヤーグの巨体が崩れ落ちるように倒れる。
雛とフォンイによって斬られた足が、魔法による深手を支えきれなくなったのだ。

「五鈴!みんなに炎の守護を!とどめを刺すよ!」

藤緒を先頭に、翔竜士、雛燐、フォンイ、そして十夜の5人が
倒れたヤーグめがけて突進する。
その体は魔法の力を受け、薄紅色に光っていた。
4人がそれぞれの武器で切りかかる。
藤緒が跳躍し、渾身の力を込めて蹴りを放つと
ヤーグから光があふれ出し、肉体が四散した。

「よし!次だ!」

「隊長。デモニカ撤退していきます。」

フォンイからの報告を受け、藤緒が周囲を見渡すと
デモニカの群れが、現れたときと同じように忽然と消えていくところだった。

「他の連中がうまくやったみたいだね。」


辺りにはむせかえるような血の匂いが漂い、
力及ばず倒れた者たちの間に、疲れ果てた戦士が座り込む。

戦いは終わった。
だが、生き残った誰もが知っていた。
今日の戦いが終わっただけだと。
いつ果てるとも分からぬデモニカとの争いは
勝つのではなく、絶対に負けてはならないものであった。

「よし、みんな無事だね。
今日の地獄はこれで終わりだ。私らも撤退するよ。」

戦士たちが一団、また一団と平原を去っていった。
後に残ったのは静寂。
散っていった者たちの魂を運ぶかのように
一陣の風が、先ほどまでの戦場を駆け抜けていった。



続く───
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