つたない物語ではありますが、お付き合いいただければ幸いです。
※紅玉はフォンイの漢字名です。
なお、これはゲーム内の逸話や体験を元にした私の想像する物語であり、
公式の設定とは一切関係ないことを申し添えます。
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ふわり
花びらが舞う。
風は無い。
見事に咲き揃った満開の桜の大木。
ふわり、また1枚。
大きく開け放たれた窓の中から、その様子を眺めていた玉蓮は、ぞくりとする。
花びらが舞っただけなのに、なぜ自分はこうも不思議な気持ちになるのか。
全身に鳥肌が立つような震えが走ったのは何故か。
外に出てみたい、そう思った彼女は桜の元まで行くことにした。
春の夜である。
まだ少し肌寒い。
月明かりに照らされた夜の闇の底を、玉蓮は歩いていった。
桜に近づくにつれ、そこに誰かがいるのが分かる。
女が舞っている。
その舞に合わせるかのように、桜が花びらを落としているのであった。
「きれいな女の人・・・。」
玉連に恐ろしいという気持ちはなかった。
どこかで会ったような、また初めて会うような。
舞っている女の顔を見ながら、そう思っていた。
ふと、女が舞をやめた。
「お前も、踊ってみるか。玉蓮」
突然、声をかけられた玉蓮は驚く。
「どうして私の名前を知っているのですか?」
「知っているさ。
お前が生まれる前から、そしてお前が生まれてからもずっとな。
まぁ、会うのはこれが初めてだがね。」
ひょっとしたら、母親の姉妹かもしれない。
そう思いながら、玉蓮が聞いたのは別のことだった。
「どうやったらそんなに上手に踊れるのですか?」
女は微笑んだ。
「お前にも聞こえるだろう。
この春の声が、春が奏でる歌が。
それに耳をすませてみろ。」
玉蓮は、よく分からないと思いながら、目を閉じ、
辺りの音にじっと耳を凝らせてみた。
「聞こえるはずだ、玉蓮。
お前にはその声が、歌がな。
なぜお前はここにきた。」
女の声を聞きながら、玉蓮は思った。
私は・・・、桜が花びらを舞わせたから・・・
それで背中がぞくりとして・・・
突然、体中に震えが走った。
何も聞こえてはこない。
曲などはなっていない。
だが、玉蓮は聞いた。
水が木の中を伝わる音
花が芽吹く音
草が萌え出す音。
石が歌っている。
山が歌っている。
花が舞う。
風が歌い、水が跳ね、
月の光の一粒一粒までもが音色として、目に見えるようであった。
すべての自然
すべての命
ここに在るすべてのもの。
その声を、歌を、玉蓮は聞いた。
耳で聞こえるというものではない。
全身の細胞に、玉蓮というものを形づくる全てのものに
それは流れ込んでくるようであった。
「あぁ」
玉蓮の目からは涙がこぼれていた。
玉蓮自身もまた歌っているのだ。
いつのまにか体が動いていた。
夜の闇に溶け出し、1つの曲になった声に、歌に合わせて
玉蓮は舞った。
女もまた舞い始める。
2人に合わせて、夜に溶け出した歌が、いっそう大きくなるようであった。
いつの間にか、玉蓮は眠っていたようだ。
心配して迎えにきた母親に揺り起こされたときには女の姿はなく、
そこには桜の大木が静かに立っているだけであった。
「あれ!お母さん、ここにいた女の人は!?」
玉蓮が母親に尋ねる。
「女の人?玉蓮、あなたここで1人で眠っていたわよ。」
母親は、玉蓮が寝ぼけてるのだと思った。
「いっぱいいっぱい教えてもらったの!!!
なんか色々分かっちゃった!!!」
「あら、何が分かったの?」
「えっと、えっと・・・。忘れちゃった!」
興奮してまくしたてる玉蓮に、母親は優しく微笑んだ。
「良かったわね。さ、帰りましょう。」
「きれいな女の人でね、何かお母さんに似てたし、
踊りがすっごい上手だったの。」
母親がふと足を止める。
「どうしたの、お母さん?」
母親は、突然、涙を流し始めた。
思い当たることがあったのだ。
「玉蓮・・・。それは紅玉おばあちゃんよ・・・。
あなたに会いにきてくれたのね・・・。」
「紅玉おばあちゃんだったのかぁ。
おばあちゃんって、すごい踊りが上手だったんだね。」
「上手だったわ。
戦いのあとのお酒の席でね、剣を持ったまま舞う姿は本当に綺麗だった。
お母さんはね、ちっとも上手にならなかったわ。
おばあちゃんからは、お前の戦での姿そのものが舞だよって言われたけどね。」
母親はそう言って涙をぬぐった。
「ねぇ、お母さん。私、踊りを習いたい。
おばあちゃんみたいに踊ってみたいの。」
玉蓮はそう言った。
何が起こったのか忘れてしまった玉蓮ではあったが、
あの震えがくるくらいの歓喜の余韻は、まだ続いていた。
この歓喜は何なのだろう。
それをまた味わいたい。
思い出したい。
その思いが、玉蓮を踊りたいという欲求へと押しやるのだ。
踊りたい。
ただ、ただ、踊りたい。
玉蓮・Fung
後に三国一の舞姫と称される彼女の、それが始まりの日であった。
〜Fin〜
さて、いかがでしたでしょうか。
フォンイ先生の継承に伴った物語、「玉蓮春宴歌」をお送りしました。
今回は短いお話にしたかったのと、夢枕獏テイストで書きたいなって思ってました。
春の夜の、あの雰囲気。
なんとも言えない、たまらなく身震いがするような、
あの空気を表現したかったんですけど、上手く伝わったでしょうか。
もう大好きなんですよ。
切なくなるような、いろんな生き物の命が溶け出したようなあの雰囲気が。
さて、まめぞーに始まるFung家も、もう6代目。
まめぞー、ミンクス、藤緒、フォンイ、抱月
そして今回、玉蓮(ぎょくれん)ちゃんが生まれました。
ちょうどミンクス継承が1年前なんですよねー。

かわいいーーーーーー!
可愛すぎるわっっっ
みなさんに、この玉蓮ちゃんの可愛さを早くお伝えしなければ!!!
そんな感じでしたよ。
相変わらずのH顔。
Fung家は
まめぞー>藤緒>抱月
ミンクス>フォンイ>玉蓮という系統です。
ミンクス系は全てH顔。
だって可愛いもん。
名前の由来は、前にお話した夢枕獏の小説
「沙門空海唐の国にて鬼と宴す。」に出てきた妓館の妓女です。
まぁ、言うたら遊女ですね。
舞を舞い、楽を奏で、酌をし、夜の伽の相手もするという。
現代で言うところの風俗嬢ですよ。
舞妓さん、芸妓さんが、夜の相手も勤める感じかな。
たぶん。
違ってたらごめんなさい。
それで踊り子さんの話にしたかったんですね。
よくよく考えてみたら、フォンイのモデルとなった
中国の女将軍「梁 紅玉」も元々は妓女でした。
不思議な縁ですね。
それでは、まだまだ続くFung家の活躍に、今後もお付き合いください。
